こんにちは。
明倫ゼミナール私立中学受験科です。
前回の明倫ジャーナルの続きです。
感染症で亡くなったと言われている平清盛ですが、
屋敷は感染症対策に効果がある造りになっていたそうです。
清盛の屋敷は「泉殿(いずみどの)」と呼ばれる貴族の住宅で、
きれいな水がわき出ていました。
このことが、ウイルス除去に役立っていただろうというのです。
まず一つは、泉によって湿度が保たれていたことです。
例えば、インフルエンザウイルスは、
温度や湿度が高くなると生存率が下がります。
二つ目は、きれいな水が流れていたことです。
平安時代の貴族の屋敷である寝殿造(しんでんづくり)は、
庭に大きな池を造ることが多いですが、
川から引いた水を貯めておく池の場合は水がよどんでいます。
蚊の幼虫であるボウフラが増えるには最適な場所です。
また、当時は下水道がありませんから、
汚物をそこに捨てていたとしたら、たいへん不衛生な環境です。
実際、平安京跡から寄生虫の死がいや卵が見つかっているそうです。
屋敷に泉がわき出ていたら、
絶えず新しい水が汚物を流してくれるわけです。
さらに、一般的な寝殿造は柱を減らし大きな部屋にしていましたが、
清盛邸は、柱の数が多く、小部屋がたくさんあったと考えられています。
このことで、室内の湿度が保たれるとともに、
感染者の隔離(かくり・分けること)が、できたであろうと言うのです。
平清盛の人柄も感染症に強かったのかもしれません。
『十訓抄(じっきんしょう)』という鎌倉時代の書物には、
物を壊した部下や朝寝(朝遅くまで寝ていること)をした部下を叱らなかったということが書かれています。
こういう大らかさが病を遠ざけたのかもしれませんね。
感染症対策をした屋敷に住み、
大らかな人柄だったとされる清盛も最期(さいご)は高熱に苦しんだのです。
医学が発達した現代にあっても、感染症の予防は手洗いが基本です。
外から帰ってきたら、まず手を洗いましょう。