こんにちは。
明倫ゼミナール私立中学受験科です。
前回、EUについておさらいしましたが、
今回は、なぜイギリスが離脱したのかについてです。
イギリスは、EU加盟国の中でドイツに次ぐ経済力を持っています。
国内総生産(GDP)はEU全加盟国(28か国)の国内総生産の15%にも上ります。
そのため、アメリカ・中国・日本などと独自に貿易をしたいという思いがあります。
また、EU加盟国内の人の行き来は自由ですから、
この経済的に豊かなイギリスへ多くの外国人労働者が移動して来ます。
「移民に仕事を奪われるかもしれない」という不安が国民にあったようです。
2016年6月にイギリス国内で、
EUからの離脱について賛成か反対かを問う国民投票が行われました。
賛成が過半数になって離脱が決まりました。
しかし、EU加盟国間で貿易をしている会社やそこで働く人々にとっては、
EUから離脱して全く別の国の扱いになることは不利なこともあります。
EU加盟国であれば関税(輸入品にかけられる税)はありませんが、
そうでなければ関税がかかるので高い値段で売らなければなりません。
値段が上がれば売れなくなるかもしれません。
これはイギリスの会社だけではありません。
イギリスに支社や工場を持つ外国企業(日本の会社もイギリスにあります)も不利になります。
今までであれば、イギリスで製造した製品をEU加盟国へは自由に運べました。
それが、今後は、関税をかけられたり、手続きに時間がかかったりするかもしれません。
2020年末まで、イギリスとEUの関係は今までと同じ関係が続きます。
この間に、イギリスはできるだけ有利な条件でEUと新しい関係を築くための努力をすることになります。
イギリスとEUの交渉がうまくいくとは限りませんから、
外国企業がイギリスから去ってしまうということがありました。
そこで働いていたイギリス人の職場がなくなってしまったのです。
また、EUを離脱することで、
移民の数を抑えられるかもしれませんが、
イギリス人が仕事を求めて外国に行きにくくなるということもあります。
移民に仕事を奪われたくないと思ってEU離脱に賛成した人で、
皮肉な結果となった人がいるかもしれません。