私立中学受験科ブログ

文部科学省の天下り問題

こんにちは。

愛知県の私立中学校や県外難関中学校の受験をお考えの小学生とそのご家庭をサポートする、明倫ゼミナール私立中学受験科です。


文部科学省といえば、みなさんもご存じの通り、教育・科学技術・文化・スポーツなどを管轄する国の「役所」です。

この文部科学省が、不正に職員の再就職を斡旋(あっせん:うまくいくように世話をすること)したということが、テレビや新聞で、最近事件としてとりあげられています。


学校を管轄する「役所」での事件ですから、「聞いたことがある」という人も多いでしょう。

しかし、中には、「どういうこと?」「何が悪かったの?」と、疑問を抱いた人もいるのではないかと思います。

そこで、今回は、この「天下り問題」を簡単に説明してみましょう。


国の機関から、民間企業に再就職することを「天下り(あまくだり)」と言います。

「天下り」という言葉は、もともとは、神様が人間界にやってくるという意味でしたが、そこから転じて、いつのまにか高級官僚が民間の団体・会社に再就職することを指すようになりました。


この天下りそのものが悪いというわけではありません。

問題とされるのは、役所に勤めている間に就職活動をしたり、退職後一定期間を経ないで、役所に関係のある会社に再就職したりすることです。

また、役所や役所の職員が、就職の世話(斡旋)をすることも、法律では認められていません。


たとえば、会社を監督する立場の役所から、監督される立場の会社に、元高級官僚が再就職したとします。

そうすると、当然、その会社のみが有利な情報を得られる等、他の会社との公平性が保たれなくなる恐れが生じます。また、官僚の再就職を求められた会社や団体は、仕事の上での関係が深い省庁からのたっての依頼ですから、立場上、断ることができません。そこからやがて企業と役所の間に癒着(ゆちゃく)が生まれ、さまざまな腐敗に発展していくことも十分に考えられるわけです。

こうしたことから、現在、この「天下り」については、法律上、厳しく規制されているのです。


今回の文部科学省の天下り問題では、文部科学省人事課の職員が、再就職を目的として、文部科学省職員の情報を民間団体に提供していたということが法律違反とされました。高齢化の進む日本では、ただでさえ高齢者の再就職が難しい状況にあります。それにもかかわらず、公務員だからという理由で、大手企業や大学に退職官僚が簡単に再就職できてしまうこのシステムに世間の批判が集中したのは、ある意味当然のことだったといえるかもしれません。


ただし、同じ「天下り」といっても、優秀な人が、役所をやめた後で、全く関係のない会社に求められて再就職することは、法律上、道義上ともに問題ありませんので、そこは誤解のないようにしたいものです。

2024年7月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

月別 アーカイブ